天気は荒れ模様
「ヘンリーヅタ」
海の小屋の横にある物置の側面いっぱいに広がっている。
園芸店に並んでいるのを見て、名前が分かった。
春に黄色い花が咲くらしいが気がつかなかったので、実を紹介する。
他の蔦同様、これから紅葉するらしいので楽しみ。
前回山へ行った時からの約束で、タダオさん夫婦と紅葉を見に行く。
広島県の北部にある三段峡へ行く予定だったが、その奥にあるしんにゅう山に登ることになった。
どんな字を書くのかと思っていたら深入山だった。
広島県まで行くと言っても、実は周南市は島根県に接している。
鹿野から中国縦貫自動車道でいったん島根県に入り、それから広島県に行くことになる。
休憩した吉和SAに、真っ赤に色づいたイロハカエデが数本あって、さっそくそこで紅葉狩ができた。
落ちている葉も美しいので、押し花をする母へのお土産に何枚か拾った。
深入山は標高1153mだけれど、頂上まで1.4Kmの登山口から歩き始める。
なだらかな登りがずっと続く。
時期は過ぎているが、夜になるとキツネたちが走り回っていそうな一面のススキの原が広がっている。
それでも遠くの山々が赤や黄色、茶色に染め分けられていて、それなりに美しい。
下を見れば登山道の入り口辺りも色鮮やかだ。
早くから頂上が見えているが、なかなか近づかないので、地面だけを見つめて一歩一歩登って行く。
11月なので花は少なかったが、何種類か発見した。
「サイヨウシャジン」
「リンドウ」
「アキノキリンソウ」
「ナデシコ」
「アザミ」
花ではないが、名前の通り、つやつやした鏡のような赤銅色の葉が美しい「イワカガミ」
頂上に着いて間もなく、パラパラと時雨れてきたので、早々に下りることにする。
足元の地面は火山灰らしく、すべりやすそうだ。
一度など完全にしりもちをついてしまったが、その時はきゃぁと言う間もなく、ひっそりと転んでいた。
その後もおっかなびっくりで下って行く私。
下りたところでお弁当にする。(時雨はやんでいた。)
小学生のように、卵焼きやおやつを交換して楽しく会食。
行きと違う登山道を下りたので、車の所まで歩こうとしたらまた降り出した。
それほどの距離ではないからよかったが、服が少し湿るくらいには濡れてしまった。
「後ろ姿のしぐれていくか」
という山頭火の句を思い出す。
中里恒子の「時雨の記」も。
静かで物寂しくて、題名と内容がぴったり合っている話だった。
車に乗り込んで暖房を入れてもらい、ほっと一息。
そこからしばらく、紅葉を楽しみながら、いかにも瀟洒な別荘地という感じの高原やダムの横を走り、匹見温泉へ。
露天風呂に入っていると、突然パラパラと大きな音が。
なんと今度は雹が降って来たのだ。
ちゃんと雹を目撃したのは初めて。
しかもお風呂の中で。
なかなか風情があった。
雹はそんなに大きくなかったが、金平糖ぐらいの大きさのが、庭の石に当たって跳ね返っていた。
今度は教科書にも載っていた、杉みき子の「春先のひょう」を思い出す。
体も温まって、さあ帰ろうということになったが、それから1時間半ほどがなかなかの冒険だった。
裏匹見峡という紅葉の名所を通って帰ろうとしたのだが、車1台がようやく通れるぐらいの道でずっとカーブが続いて行く。
片側はかなり深い崖。
たまに対向車が来ると、どちらかがバックして少し広いところに避けて、何とか行き交うのだが、本当にぎりぎりの時が2、3回あった。
今どの辺りだとか、あとどれくらいだとかいう標識も全然なくて、同じような道が果てしなく続いて行く。
帰ってから地図で確かめたら、地図上でもびっくりしてしまうぐらいくねくね道で、冬期閉鎖の×マークが二つもついていた!
ネットで調べたら、もっとびっくり。
「断崖絶壁が差し迫った勇壮な景観」とか「西中国山地の数少ない秘境」とか「吉和インターチェンジ から国道488号を経由するのは(私達が通った道だよっ!)、県境付近は道路状態が悪い区間が長く続くため危険」とか、怖ろしいことが書いてあった。
きわめつけは「酷道・険道の上級者レベル」として、
「中国地方を代表する酷道。広島県側は穏やかな隘路だが、島根県側は高度感ある隘路となっている。全区間通じて路肩が脆く、裏匹見峡付近は断崖絶壁となっているために尖った落石が多い。離合可能箇所が少ない上に行楽シーズンには多数のハイカーが訪れるため、離合にはかなり苦労させられる。酷な要素は一通りそろっているので中国地方の人は行っておくべし。ただし、通行止めが多い。」
確かに紅葉の下の渓流も見ごたえはあったが・・・。
やっと広い道に出て、後はスムーズに帰って来たが、今度は雨。
山の間から霧(靄?)が立ち上っていた。
ところが家に近づいて来ると、雨は降っていないし、地面も全く濡れていない。
すぐ隣とはいえ、やっぱり島根県は日本海側だとしみじみ思ったのである。
(ただたんに山沿いだったから・・・かもしれない。)
それにしても、私達は乗っているだけだから楽だったが、タダオさんは今日の運転はさぞ疲れたことだろう。
お疲れ様でした。
今日の海。
そういうわけで5時半頃帰って来て散歩に行ったが、すでに日は沈んであたりは暗くなっている。
その中でよく目立つ白いしっぽをぴんと立てて、地面をしっかり踏みしめて歩く海であった。
そのうちに今度はこのあたりも雨が降り始めて来たので、急いで帰る。
雨雲に追いかけられたような1日だった。
by hideko0611
| 2007-11-11 23:14
| 山口観光
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